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兵庫県から南の海に浮かぶ島、淡路島。その島の一番南端に南あわじ市があります。

淡路島は播磨灘、大阪湾、紀伊水道と複数の内海に囲まれ、水運の行き来や、地理による時代の変化が昔からあった場所です。

現代は淡路島に二つの橋がかかっており、北の淡路市に明石海峡大橋がかかって本州に、南はこの南あわじ市から四国に大鳴門橋がかかることで、人や物の行き来がより豊かになりました。

兵庫県の南あわじ市と、四国は徳島県の鳴門市。こちらの間はわずか１．３メートルですが、深さは最深部で８０メートルもあると言われております。

長さだけなら何てことない距離ですが、この周囲には巨大な渦潮が巻き、世界三大潮流の一つに数えられております。イタリアの「メッシーナ海峡」、アメリカ「セイモア海峡」、そのどれよりも巨大で激しいうずしお、古事記では天沼矛でかき回すと「おのころ島」が生まれたらしいですが、見た目は小さな舟が巻き込まれたら一たまりもない死の恐怖そのものです。

現代は逆にこのうずしおは観光の対象となっており、日本初の蒸気船をモデルにした「咸臨丸」に乗って、鳴門海峡を楽しむことができます。

透明な床を見ながら鳴門海峡のうずしおを眺めるという現代でしかできないことを体験できます。

海は常に潮の満ち引きが行われており、これは月と太陽の引力によって変わっていきます。古来の人々が天文学を発達させていったのも月の形や暦からこれを探ってきたのでしょう。鳴門海峡では特殊な地形、一つの島が播磨灘、大阪湾、紀伊水道と三つの海域に分けさせ、それにより満潮と干潮が同時に起こるという特殊な環境にあるようです。

大きいときには３０メートルにまでなるという、鳴門海峡のうずしお。

古事記という神話の１ページになるのも納得で、このうずしおは海の栄養を行き渡らせる効果もあり、漁師にとっては恐怖と尊敬を同時に与える本当に神様そのものだったかもしれません。

南あわじ市の北よりに、おのころ島神社というのがあります。こちらは巨大な朱い鳥居が目印で、名前から分かるように古事記の「国生み神話」ゆかりのものとなっております。日本の始まりの物語である古事記にも記されている淡路島だからこそで、その他に淡路人形浄瑠璃という南あわじ市の伝統芸能があります。こちらも国生みの神話を基にした「えびす舞」を行っており、現代も人々を魅了しております。

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