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兵庫県はやや三角の形をしておりますが、中央から積み木を乗せたように北部に市域が伸びますが、その真ん中、中央東部の位置に、この丹波市はございます。

丹波市はまるで漢字の「大」の字を圧縮したように、五つの方角にそれぞれ市域が広がっております。町は山間に開けた平野部にありますが、いくつも十字が重なったかのように複雑に開けており、周りを囲む山々もそれぞれ急斜面ばかりで、農業などがしにくい中山間地域と呼ばれております。

それでもこの地は日本海と瀬戸内海の中間に位置する場所であり、これらの山々を縫うように二大河川が走ります。一つは瀬戸内海へと川の水が流れていく加古川、そして日本海へと流れていく由良川。

中央分水界という降った水がどちらに流れるかの境界線がありますが、この丹波市はその境界線が、日本一標高が低いものだそうです。

厳しい環境ほど人は強くなるのか、この丹波市には『丹波の赤鬼』と呼ばれる戦国武将がおりました。この丹波市周辺は昔丹波国と呼ばれる地域でしたが、昔、丹波を守護していたのは細川氏。しかし、応仁の乱以降は力を失い、内藤氏の一族が細川氏を妥当し、さらにこの内藤氏の一族を破ったのが、赤井氏でした。

赤井氏は同じく下剋上でのし上がった波多野氏と共に、丹波の強者として君臨しておりました。

この赤井家の次男として生まれたのが、のちに丹波の赤鬼と呼ばれる赤井直正です。

直正は叔父である荻野秋清の養子になりますが、宴の席で叔父を暗殺。現在の丹波市にあった黒井城を乗っ取りました。ここから彼は自らを「悪右衛門」と当時の勇猛さを称して名乗ります。その後、兄が戦で死去し、赤井家を引っ張ることになります。

戦国時代を翻弄した松永久秀の弟・内藤宗勝を打ち取り、織田家の家臣、明智光秀も一度は退かせます。

しかし、二度目の光秀は波多野氏と協力させないように分断する土地に金山城を築き、本体より周りの城を攻めていくことで、徐々に赤井直正を追い詰めていきます。

のちに赤井直正は降伏。しかし、彼が残した伝説は今なお語り継がれ、黒井城はもう城壁がわずかにあるばかりですが、毎年秋になると「黒井城まつり」が行われ、甲冑に身を包んでの行進や料理をふるまうなど、人々の礎になっております。

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